HPC GPU server design

HPC向けGPUサーバーを、コードと代表入力から設計する

FP64性能やGPUメモリ容量だけでは、科学技術計算の実行時間は決まりません。コードのGPU対応範囲、CPU側処理、MPI、メモリ帯域、I/O、数値結果の妥当性を確認し、受入試験まで構成に含めます。

Feasibility first

ハードウェアを選ぶ前に、GPUで動く範囲を確認します

同じアプリケーションでも、計算機能、バージョン、ビルドオプション、プラグイン、入力条件によってGPUへ移る処理が異なります。CPU版の実行時間が長いという理由だけでGPUを選ばず、次の順で確認します。

  1. 対象を固定:ソフトウェア名・版、ソース、ビルド方法、入力、実行コマンド、現在の計算機。
  2. GPU対応を確認:対象機能が公式GPU実装、KOKKOS、OpenACC、CUDA等に対応しているか。
  3. CPU基準を取得:正しい結果と、初期化・計算・通信・I/Oを分けた時間を記録。
  4. 小さいGPU試験:1GPUで完走、数値結果、メモリ、主要カーネル、エラーを確認。
  5. 枚数を拡張:2/4/8GPUで、短縮時間と通信増加を比較して必要枚数を決める。

Software-specific checks

Quantum ESPRESSOとLAMMPSでは、確認点が異なります

Quantum ESPRESSO

公式User's GuideにはNVIDIA GPU向けconfigure手順があり、GPU版はNVIDIA HPC SDKのnvfortranを利用します。CUDA-aware MPIを含むビルドと、実際に使うpw.x等の機能を確認します。

入力では、原子数、バンド数、k点、FFTグリッド、擬ポテンシャル、収束条件、計算種別をそろえ、数値結果と反復回数を比較します。

LAMMPS

公式ドキュメントにはGPU、KOKKOS、OPENMP等のaccelerator packageがあります。使用するpair_style、fix、computeが対象packageのaccelerated styleに対応しているかを確認します。

原子数、近接リスト、ポテンシャル、境界条件、timestep、通信、neighbor設定をそろえ、初期化とtimesteps/sを分けて測ります。

ソフトウェアがGPU対応でも、使用する機能すべてがGPUへ移るとは限りません。公式ドキュメントと実行ログの両方で確認します。

Balanced hardware

GPU以外のボトルネックを、構成表へ入れます

構成要素確認する負荷見積への反映
GPU必要精度、GPUメモリ、メモリ帯域、対応カーネル、GPU間通信正確な製品名、枚数、接続部材、冷却方式
CPU前後処理、MPIランク、CPUに残る計算、GPUへのデータ供給ソケット数、コア数、周波数、PCIe、NUMA
システムメモリ計算領域、バッファ、複数ジョブ、メッシュや軌道データ容量だけでなくチャネル構成とDIMM配置
ストレージscratch、restart、trajectory、wavefunction、学習データOSと計算領域の分離、NVMe容量、書込耐久、バックアップ
ネットワーク複数ノードMPI、共有ストレージ、結果転送、管理NIC速度、ポート、スイッチ、ケーブル、RDMA要件
電源・冷却連続高負荷時の消費電力、温度、ファン、室内排熱受電、冗長PSU、ラック、空調、騒音条件

Acceptance criteria

性能値と同じくらい、結果の妥当性を重視します

受入試験には、比較可能なCPU基準または既存環境、固定した代表入力、実行コマンド、ソフトウェア版、出力の合否判定を含めます。速く終了しても、収束条件、エネルギー、力、温度、trajectoryなど必要な結果が一致しなければ合格にしません。

Correctness

終了コードだけでなく、物理量、収束、警告、NaN、再現性を確認します。許容差は用途側で決めます。

Performance

ウォームアップ、初期化、計算、通信、I/Oを分け、何を実行時間に含めたかを明記します。

Operations

ジョブ投入、ログ、監視、restart、ユーザー分離、再起動後の手順を確認します。

Quote input

見積依頼時に添える技術情報

  • アプリケーション名、バージョン、入手元、ライセンス条件
  • ビルド手順、コンパイラ、MPI、CUDA、依存ライブラリ
  • 代表入力、実行コマンド、現在のハードウェアと所要時間
  • 必要な数値精度、合否判定、目標時間、実行頻度
  • GPU枚数、並列ジョブ、将来増設、複数ノードの可能性
  • 設置場所、電源、ラック、空調、ネットワーク、納入希望時期

非公開コードやデータを扱う場合は、NDAと安全な受渡し方法を合意してから共有します。

FAQ

よくある質問

GPUを追加すれば既存の科学計算コードは速くなりますか?

自動的には速くなりません。対象機能のGPU対応、正しいビルド、代表入力でGPUへ移る処理割合を確認します。

FP64性能が高いGPUを選べば十分ですか?

FP64に加えて、メモリ、CPU、FFTや疎行列、通信、I/O、アプリ実装を確認します。

Quantum ESPRESSOやLAMMPSのセットアップも相談できますか?

可能です。版、ビルド、アクセラレータ、MPI、代表入力、外部データを確認し、対応範囲を見積条件にします。

受入試験には何を使えばよいですか?

実運用を代表し、短時間で再実行でき、正しい結果を判定できる入力を選びます。

Primary sources

ソフトウェア確認に使用した公式情報

Build or diagnose

HPC用途で構成を作る、または既存コードを先に診断

GPU候補が決まっている場合は構成アシスタントへ。GPU対応や高速化可能性が不明な場合は、コード・ログ・代表入力から診断します。

大学・研究室で予算申請や仕様書案から準備する場合は、大学・研究室向けGPUサーバー見積ガイドもご覧ください。

本ページは構成検討のための一般情報です。GPU化、性能向上、数値結果を保証するものではありません。正式な対応範囲と受入条件は対象コード・入力・見積書でご確認ください。